技術経営ブログ

特許庁におけるAIの活用

2018年11月14日

技術ブログ

 特許庁では、平成28年度から特許行政の効率化を図ることを目的として、人工知能(AI)技術の特許行政への適用可能性の検討を行っている。AI技術の業務への適用可能性の検討は既に行われており、以下のようにソリューション案の導入可能性についても見積もられている。

1 電話等の質問対応・・・担当課室の選定、問合わせ対応(導入可能性あり)
2 紙媒体の電子化・・・・紙出願された資料をOCRによりテキスト化(導入可能性あり)
3 書類の印影確認・・・・申請書類の印影の確認 (導入可能性あり)
4 品質監査・・・・・・・審査官による作成書類の形式的な瑕疵の確認(導入可能性あり)
5 特許分類付与・・・・・出願された発明に対して適切な特許分類を付与(一部導入可能性あり)
6 先行技術調査・・・・・出願された発明に対する先行特許をサーチ(一部導入可能性あり)
7 発明の内容理解・・・・発明内容を理解し、技術的範囲を特定(現時点では導入困難)
8 特許登録可否判断・・・出願発明と引例を比較し、特許性の判断を行い、拒絶理由通知書を作成(現時点では導入困難)
(出典 麻川倫広「特許庁における人工知能技術の活用に関する取組について」Japio YEAR BOOK 2018,p6~p11,.2018.11.1)

 上記文献によれば、形式的な業務(1~3)については人工知能によるアシストが進んでいく。これに対して、審査官による実体審査に付随する業務(7、8)については現時点では導入困難であると結論付けられている。つまり審査官による審査のAIによる代替は現実的ではない。しかしながら、特許分類付与や先行技術調査(5、6)といった、発明の内容にある程度踏み込まないと実現できない業務は一部AIの導入可能性がある旨の見解がなされている。
 
 AIによる特許調査は既に各業者において開発が進んでおり、正解率も高くなっている。このAIの特許調査精度が高くなれば、8の特許登録可否判断における新規性の判断について、AIが完全に代替することはまだ先だとしても、一部代替は可能になるかもしれない。また、AIの特許調査精度が高くなれば、弁理士事務所や企業における先行特許調査の労力を省くことができるため、業務効率に与える効果は非常に大きいものとなるであろう。
 

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