技術経営ブログ

特許の質的分析

2019年4月25日

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特許の量的指標として世界中で最も多く使用されているのは、特許を何件出したか、或いは何件特許登録されたかを示す“件数”である。この“件数”を始めとする量的指標は、あくまでマクロな傾向を全体的に把握する上で好適な指標であるが、個々の特許の内容までは踏みこんで評価することができないため、詳細な分析や評価を行う上ではある程度の限界がある。また昨今の特許の量から質への移行に伴い、特許の質的側面の評価に関するニーズも高くなってきている。
このため、特許の量的指標に加えて、特許の質的指標に関する研究が近年において進展し、実用化されている。従来より研究されている特許の質的指標の一覧を以下の表に示す。

 特許の質的指標は、技術の注目度を評価するための指標と、権利の有効活用性を評価する指標とに大きく分類できる。技術の注目度を評価する指標は、その技術がどの程度重要であるか、どの程度着目されているかを示すものである。主たるものとしては、被引用数、閲覧請求数、無効審判請求の有無、情報提供の有無等のように、特許出願人以外の他者からのアクセスに基づくものが挙げられる。他者からの法的なアクセスが多いほど、その特許発明が注目されており、技術としての価値が高いものと推定するものである。これ以外には、早期審査の有無、外国出願の有無、拒絶査定不服審判の有無等のように、特許出願人自らの行為に基づくものが挙げられる。

 このような技術の価値を評価する指標は、確かにその特許発明の技術そのものの有用性を定量的に評価することが可能となる。しかしながら、その特許が技術的には有用性の高いものであったとしても、非常に狭い権利しか取得できていない場合には、結局のところ特許権をうまく活用することができない。
 
 このため、技術の注目度の評価軸以外に、権利の有効活用性の評価軸を介して特許の質的側面を論じる必要がある。この特許の有効活用性は、特許の広さと高い相関がある。つまり特許の広さが広いほど自社又は他社の実施品を広く抑えることができる可能性が高まり、その分において活用性が高まるものと考えられる。

 特許の広さを定量的に評価するために、格成分数という概念を取り入れたTechnology Size(TS)というパラメータを開発し、製品化を図ってきた(詳細はこちらをご覧ください)。格成分数とは、特許発明の技術的範囲の広さと相関性が高い定量的指標であり、特許請求の範囲の記載において各構成要素につきどれだけ限定がかけられているかを数値化したものである。格成分数は、名詞句の数ではなく、動詞が意図する命題実現に必要な条件を抽出するものである。

 このような技術の注目度や権利の有効活用性等の質的指標を評価する上で気をつけなければならない点は、評価者の主観を盛り込むことなく、あくまで客観的な評価に徹することである。これらの質的指標の評価パラメータに一部でも評価者の主観が混ざっているのであれば、その評価値は一気に客観性を失い、信憑性を欠くものとなってしまう。この評価者の主観を盛り込むことなく評価値に客観性を出すためには、評価パラメータを何れも定量的指標のみで構成することがポイントになると思う。

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