技術経営ブログ

ジョブ理論

2019年4月26日

技術ブログ

 平成最後の技術経営ブログは、イノベーションの話で、中でも「ジョブ理論」の話で締めたいと思う。

 ジョブ理論は、「顧客から選ばれるサービスや製品を生み出したい」と願う多くの企業により注目されているイノベーション理論である。ジョブ理論は、クレイトン・M・クリステンセンにより提唱された理論であり、イノベーションを予測するために、どのように生産財や物が顧客により消費されるか、そのメカニズムを詳細に分析し、理論立てたものである(クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」ハーパーコリンズ・ ジャパン )。例えば、我々が何らかの用事(ジョブ)を片付けなければならないとき、その片付けのため必要な製品やサービスを購入する、これを一つの消費のメカニズムとして捉える。顧客が商品を選択して購入するということは、片づけるべき仕事(ジョブ)のためにその商品を雇用する、と考える。この本には、ジョブの例としてミルクシェイクを自らのジョブのために購入(雇用)する話が紹介されている。

 注目すべき点は、顧客のジョブを正確に捉えることができれば、イノベーション成功の青写真を描くことができるということである。イノベーションを興すためには従来のようなマーケティング分析、ニーズ分析のような定量的な数値からは見えてこない、顧客の深いところにあるジョブを探り出し、それに対する解決策を抽出していく必要がある。この本には、その方法論が事例を踏まえていくつも紹介されている。いくら高度な技術を開発することができても、それが本当の意味でイノベーションにつながらないのは、真に片付けるべきジョブとは無関係な面ばかりを改善しようとしていたからかもしれない。求められていない面ばかり改善しても、顧客のジョブは片付かないのでなかなか買ってもらえない。そのような悪循環に陥るのを防止するために、これからのイノベーション創発においては、ジョブ理論が注目されているのである。

 平成の時代にも様々なイノベーションが創出された。令和の時代も勿論様々なイノベーションが興ることが予想される。しかし、このようなジョブ理論が注目され始めている中、令和の時代におけるイノベーションが生まれる過程やそこまでの道すじは、平成時代におけるイノベーションと比較して、全く異なるものになるのかもしれない。

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