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特許ポートフォリオの力関係∝特許の量、質

2019年5月9日

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 特許分析は様々な目的の下で行われるが、一般的には特許出願件数、特許登録件数、特許率等といった、件数ベースの量的指標を基調としたものが多い。特許庁が毎年発表している特許行政年次報告書も件数をベースにした報告になっている。件数はある意味において、出願人別、或いは技術分野別、更には国別といった特許出願の勢力の強さを描いているものであり、非常に理解しやすく、確度の高い量的指標であることは確かである。

 しかしながら、自社の知財戦略を見直す上では、この量的指標のみに着目し、特許分析を行い、最適な解決策が出てくるであろうか。与えられた問題に対して仮説を出そうとするとき、ある一方の側面のみから事象を決めつけて仮説を設定してしまうのは非常にリスキーだ。一般的な考えられる筋書を考えた後、その常識を覆すような視点、異なる視座から再考する方が、仮説をより深みを出すことが可能となる。

 例えば、「自社は、競合他社と比較して特許出願件数が増加傾向にあるが、個々の特許の広さが狭く、活用性の低い特許の割合が高いのではないか」等のように、量的指標のみならず、質的指標という異なる側面から問題を投げかけることで、仮説を更にブラッシュアップすることができる。つまり、特許の質的指標は、特許分析の前提となる仮説を立案する上での仮説に深みを持たせることが可能となる。

 また、特許の質的指標についても特に近年においては様々なものが提案されており、中でも特許の広さ指数としてはTS(Technology Size)がNRIサイバーパテントにより提供されている(ミノル国際特許事務所も共同開発。詳しくはこちら)。また特許の注目度については、特許の被引用数や外国出願国数等のデータを利用することができる。このように特許の質的指標を用いた仮説を設定した場合において、その仮説を検証するためのツールも揃っている。問題に対する答えが出せるため、提案する戦略について根拠を説明することができる。データを出して説明ができればそこから考察が新たに生まれ、提案の質自体も変わってくるであろう。

 戦国時代において有名な戦いの殆どは、両軍の兵力で語られる。特許件数が兵力であるとすれば、特許の質は、兵の訓練度とか兵の質といったところかもしれない。特許紛争になった場合の両者の特許ポートフォリオの力関係は、特許の量のみならず質も合わさった総合力でそろそろ話をしてもよい頃なのではないかと思う。

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