技術経営ブログ

パテントマップとIPランドスケープ

2019年6月17日

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パテントマップは使い方によっては非常に優れたツールになる一方で、使い方を誤ると有用な情報を取得できないばかりか、ミスリードを招いてしまう虞がある。市販のパテントマップのツールは昨今において非常に発展しており、単なるバブルチャート以外に、特許出願の状況を等高線の分布図のようなもので描画できるものが出てきたのはかなる昔の話だ。パテントマップを作れるだけで、知財マネジメントに取り組んでいるとつい思ってしまうくらい、グラフィック面も素晴らしいものが沢山出回っている。

しかし、このパテントマップは、あくまで1年半前の特許出願の状況を眺めているに過ぎない。つまり特許を出願しても出願公開されるのは1年半経過後であることから、1年半以前の特許出願状況を俯瞰しているに過ぎない。勿論、自社、他社の過去の特許出願傾向をおさらいすることはある意味重要であるが、単なるおさらいに終わってしまうのは非常に勿体無い話である。むしろ会社の経営陣が知りたいのは過去の特許出願傾向のおさらいではなく、今後の企業経営、つまり自社の舵取りを行っていく上で必要な情報が欲しいわけである。

このようなケースにおいて、意識しなければならないのはIPランドスケープだ。IPランドスケープでは、あくまで特許ひいては知財(IP)の状況を単なる知財経営のセグメントのみで俯瞰して終わらすのではない。知財経営のみならずイノベーション経営戦略、事業戦略を含めた経営全般の中で、ランドスケープ(景色)を見るように知財(IP)の状況を俯瞰するのがIPランドスケープのコンセプトである。このIPランドスケープを通じて事業経営と知財経営との距離感を一気に縮め、事業経営に対して知財経営を一体となって協働させることができ、知財の強さを経営の戦略に盛り込むことができる。このIPランドスケープを実施する上では、知財情報、市場情報、R&D情報、社会情勢、技術のトレンド、将来の展望を踏まえてランドスケープ(景色)を俯瞰していく必要がある。この俯瞰を行う上で知財情報を表示する一つの方法として上述したパテントマップを活用するケースがあるが、単なる特許分析ではなく、ランドスケープを俯瞰する上で、上述した市場情報やR&D情報、社会情勢・・・等を踏まえた上でこれらに一気通関で突き刺さるようなマップにしなければならない。これはパテントマップの個々の縦軸、横軸の設計にも関わってくる話であり、非常に難易度の高い仕事だと思う。

しかし、このようなIPランドスケープを景色として当初から作りこんでおけば、それ自体が他社に対する圧倒的な強みとなり、ひいてはその会社の知財(IP)自体を、そのランドスケープに沿って他社よりも圧倒的に強く成長させることが可能となると確信している。

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