技術経営ブログ

IPランドスケープと知財・経営の距離

2019年10月16日

技術ブログ

一昨日の日本経済新聞において知財と経営の一体化の話が掲載されていた。

「『知財は御社にとって重要と思いますか』と100人に質問すると、ほぼ全員が手を挙げる。しかし『貴社は知財を使いこなした上で、十分な成果を出していると思いますか』と聞くと挙手は殆ど無くなる。」

「知財に精通した役員は殆どいなく、知財部門の地位は総じて高くはない。合併や買収、提携で知財が深く考慮されることもケースはそれほど多くはない。経営と知財が分離してしまっているのだ。」

(出典 日本経済新聞 2019年10月14日)

このような状況を打開するための一つの取り組みとして、IPランドスケープと呼ばれるビジネス分析を知財部門が経営陣に提供しすることを初めている話があった。IPランドスケープとは、知財情報(特許情報)を経営分析のデータに重ね合わせてビジネス全体を俯瞰する手法である。IPランドスケープは単なる特許情報のみの分析を目的としたパテントマップを作成するのではなく、特許情報(知財情報)を駆使し、自社や他社のビジネスを分析する手法をいう(渋谷高弘 「IPランドスケープ経営戦略」日本経済新聞出版社 P72-78)。特許情報を通じて自社技術資源や他社技術資源の状況や、自社と他社の強みの差別化要素、ひいてはコア・コンピタンス、更には知財をどのように活かせば持続的競争優位性が開かれるのかを分析するものである。このため、IPランドスケープは、あくまで特許ひいては知財(IP)の状況を単なる知財経営のセグメントのみで俯瞰して終わらすのではない。知財経営のみならずイノベーション経営戦略、マーケティング戦略を含めた経営全般の中で、ランドスケープ(景色)を見るように知財(IP)の状況を俯瞰するのがIPランドスケープのコンセプトである。

このようなIPランドスケープを通じて経営と知財との距離感を一気に縮め、ビジネスモデルに対して知財経営を一体となって協働させることができ、知財の強さを経営の戦略に盛り込むことができる。また他社との事業提携やM&Aを検討する際において、このIPランドスケープを通じて、相乗効果を発現させることができる協力企業の候補を分析することもでき、オープンイノベーションの戦略立案にも活用することができる。

このようなIPランドスケープを通じて経営と知財の一体化を推し進めるためには、知財部門は勿論であるが、経営陣がその重要性を深く認識し、全社的にそれを推し進めるようにトップダウンで号令を出すくらいにしないと進んでいかないのではないかと思う。そして、その号令に従い、知財部門のみならず、営業部門、R&D部門、製造部門等の各部門がランドスケープを描く上で必要な情報を提供し、それを一つに集約させてまとめる作業を全社的に行うことが重要だと考える。

 

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