技術経営ブログ

状況シナリオと意思決定

2018年12月20日

技術ブログ

 我々は毎日のように様々な意思決定をしている。食事をするときも何を食べるか、目的地へ行くときも何時に出てどのような経路を使うか、さらに長期的な視点で見れば、どの学校に進学し、どの会社に就職するのか、人生はまさに意思決定が連続した一つの束みたいなものだ。
 
 この意思決定を行う際には、様々な選択肢を用意し、その中から一つの選択肢を選ぶことを我々は無意識に行っているはずだ。そして、この一つの選択肢を選ぶ際には、将来の状況と照らし合わせる。つまり将来起こりえる状況に対してそれぞれの選択肢の選択をした場合にどのような利益、不利益が発生するかを予測する。そして、最終的に最もその利益が高い選択肢、又は最も不利益が小さい選択肢を選択することを必然的に行う。

 例えば以下の図のように選択肢がA1~A3の3通り存在するものとする。また将来の起こりえる状況シナリオとしてS1~S3の3通り存在するものとする。表中の数値は、利得であり大きいほど自社に利益をもたらす。仮に将来の状況がS1であれば、選択肢A1を選択した場合には、利得が-20、選択肢A2を選択した場合には、利得が35、選択肢A3を選択した場合には、利得が70となる。同様に、将来の状況がS2であれば、選択肢A1を選択した場合には、利得が130、選択肢A2を選択した場合には、利得が60、選択肢A3を選択した場合には、利得が50となる。
 

 
 このような利得表を作っておけば、例えばハイリターンは望めなくてもあえてローリスクな意思決定に重きを置きたい場合、各選択肢A1~A3における最も低い利得を抽出して比較する。そして、この選択肢A1~A3の中で最も利得の高いもの(A2)がベストな選択肢となる。つまりA2を選択すれば、いかなる状況S1~S3になったとしても利得15以下になることはなくなることを理解できる。同様にリスクを負ってでもハイリターンな意思決定に重きを置きたい場合、各選択肢A1~A3における最も高い利得を抽出して比較する。そして、この選択肢A1~A3の中で最も利得の高いもの(A1)がベストな選択肢となる。つまりA1を選択すれば、状況S1~S3の如何によっては非常に高い利得130を得ることができることを理解できる。

 更に以下の図のように、状況S1~S3が起こりえる確率が分かっているのであればなおさら意思決定はしやすくなる。確率分布を実際の利得の計算式に含めることで、より定量的な将来予測の下で選択肢を絞り込むことができる。

 ところで、イノベーション経営や知財経営を行っていく上でも、様々な意思決定が付きまとう。その意思決定を行う上では外部環境や内部環境を含め、多岐にわたる選択肢、将来の状況が考えられ、意思決定を行う上で考慮すべき点は多岐にわたる。このような複雑な意思決定を行う上でも、上述した例のようにできるだけ、選択肢や将来の状況を見極め、利得の値を絞り出すこと、これが経営にゲーム理論を活用する上での一歩になるのではないかと考える。

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