技術経営ブログ

オープンイノベーションの本質

2019年3月27日

技術ブログ

 オープンイノベーションを基調としたビジネスエコシステムを構築する上では、自社の技術の強みではブラックボックス化し、協力企業の入る余地を与えない、専有領域と、協力企業との間で互いに技術やノウハウの共有化を図り、互いにリテラシーを共通化させる共有領域を区別することが重要となる。どこまでをオープン化して協力企業を取り込み、互いにWin-Winになるオープンイノベーションを創発させるか、またどこまでをクローズ化して自社の独自技術で囲い込むか、その峻別を戦略的意図をもって行うことが重要である。これらの峻別は感覚的なものではってはならない。そして、その峻別を戦略的に行うためには、専有領域と共有領域を構成する個々の技術の塊を定量的に洗い出し、それぞれに対して戦略的な位置づけを明確にする必要がある。いわば社内技術マップを定量的に作り上げ、それぞれに対して専有領域と共有領域の線引きをしていくイメージに近い。

 どの社内技術を専有領域として割り当てるべきか。(冨山和彦「AI経営で会社は甦る」文藝春秋)によれば、最後まで外から持ってこれない技術分野こそ自社の得意分野であり、それをブラックボックス化した専有領域として囲い込むことが重要であるとのことである。協力企業の保有する技術が自社より優れているのであれば、それを持ってくればよいのであり、自社でわざわざ開発して作り出す必要は無い。逆に協力企業から持ってきた技術を組み合わせ、最後まで残った領域が自社の得意分野になりえるのであり、その領域における開発に成功すれば自社のみの囲い込みが可能となるのである。囲い込みの手段は知財戦略と絡める場合もあるだろう。

 このような自らの比較優位に自社資源を集中させ、比較劣位は切り捨てて協力企業の比較優位を利用させてもらう考え方は、昔から競争戦略の基本中の基本である。しかし、近年においては、第4次産業革命の中、上述した専有領域と共有領域を構成する個々の技術の塊の定量的な洗い出しが以前よりも難しくなっていることは確かだ。第4次産業革命の中でオープンイノベーションを成功させるためには、これを実現するための専門的メソッドがますます必要になる。

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