技術経営ブログ

技術資源マトリクスとオープンクローズ戦略

2019年4月12日

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 前回はアンゾフの成長マトリクスの話をさせていただいたが、今回は、自社内の技術資源の有無、並びに他社の技術資源の有無からオープンクローズ戦略を策定する技術資源マトリクスを考えてみたので提案したい。
 以下の例は、技術資源マトリクスである。縦軸は、自社内技術資源の有無、横軸は、他社技術資源の有無である。ちなみに、この技術資源マトリクスにおいては、あくまでターゲットとしている市場は同一であるものと仮定している。
 
 左下は、自社内技術資源が「無し」、他社技術資源が「無し」の場合であり、自社並びに他社は汎用技術のみしか保有してなくて、ある意味過当競争になっておりレッドオーシャンの状況となっている。左上は、自社内技術資源が「有り」、他社技術資源が「無し」の場合であり、自社が他社にはない技術資源を保有してリードしている状態であり、クローズドイノベーションにつなげてブルーオーシャン状態を目指すパターンである。右下は、自社内の技術資源が「無し」、他社技術資源が「有り」の場合であり、他社が自社にはない技術資源を保有している状態である。この状態では、今から自社のみがいくら頑張って他社に追いつこうとしても、他社はさらにその先を行ってしまう。このため、技術開発の遅れを取り戻すことよりもいかにして他社にビジネスを提案し、或いは企画を提案するか、つまり有能な企画者を目指す戦略である。右上は、自社内技術資源が「有り」、他社技術資源が「有り」の場合である。この領域では、お互いに無い技術を補完し合い、互いに融合してオープンイノベーションを興す。そして自社、他社お互いにWin-Win状態になり、また自社と他社を中心としたエコシステムで他陣営を引き離す戦略である。

 

 左下のレッドオーシャンにある場合には、当然その状態を脱したいと考える。このとき、いきなり左上の状態に持っていければよいが、それが難しい場合はどうすればよいか。自社が技術開発を行っている期間内に、他社も当然に技術開発を行った結果、右上の状態になることが考えられる。また、自社よりも先に他社が技術開発に成功した場合には、右下の状態になる。最悪、この右下の状態になってしまった場合には、有用な技術資源を持っている他社にうまく働きかけ、ビジネスモデルや新たな用途を提案し、協調しながら分け前をもらい、更に少しずつ他社技術資源の理解を深め、ノウハウを蓄積していく戦略になるかもしれない。これが自社内技術資源の新たな起点になり、右上のオープンイノベーションに近づいていくことになる。

 仮に左上のブルーオーシャンを勝ち取れたとしても、他社がこれに追いついてきたときは、その差別化された技術の優位性が無くなることから、再び左下に陥落してしまう。ある意味において、このクローズドイノベーションは、即座にレッドオーシャンに落ち込むリスクがある点において脆いところがある。また、ブルーオーシャンが永続的に続くことは考えにくく、何れはレッドオーシャンになるが、その状態に落ち込むスピードを緩めるために知財戦略がある。

 全ての事例について上記技術資源マトリクスに当てはまるわけではないことはご容赦いただきたいが、これからは、現実的に目指すオープンクローズ戦略の方向性は、右上のオープンイノベーションかもしれない。自社の技術資源の強みに加え、他社の技術資源の強みを効果的に組み合わせることで、他陣営を凌駕するほど引き離すことができる。これはクローズドイノベーションでは成しえないものだ。そして、これに知財戦略を組み合わせることでオープンイノベーションを更に強いものにしていくことが今後は求められるであろう。

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